屋島総合病院

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   屋島総合病院外科では積極的に下肢静脈瘤の治療を行っており、約1,200名の患者さんの手術を行ってきています(平成18年4月現在)。下肢静脈瘤は出産後の婦人や農家、商店、看護師、美容師など立ち仕事の多い職業の方に多く認められますが、そのままで放置されている人が多いようです。しかし、深部静脈血栓症の危険因子であるともされ、まれではありますが肺動脈血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)のような生命を脅かす合併症を引き起こす可能性があります。下肢静脈瘤は治すことのできる病気であり、また治しておかなければならない病気でもあります。
  ◎血液の循環について
   血液は心臓のポンプ作用により動脈を通って全身に行きわたり、体の組織で酸素や栄養がつかわれた後に静脈を通って心臓に戻ります。
 下肢の血液は重力に逆らって心臓に向かって昇らなければなりません。その際重要な働きをするのが脚の筋肉と静脈の弁です。ふくらはぎの筋肉は第2の心臓とも呼ばれ、筋肉が収縮するときに静脈を圧迫して血液を押し上げます。静脈の弁は血液の逆流を防ぎ、常に血液を心臓の方向に流す働きがあります。
心臓イラスト このように筋肉ポンプ作用と静脈弁が協調して働いてはじめて脚の血液を心臓にまで送り返すことができます。
  ◎下肢静脈瘤とは
   この「静脈弁」が長年の立ち仕事、妊娠、出産などで破壊された結果、静脈に逆流が起こり拡張、蛇行がする状態を「下肢静脈瘤」といいます。ほとんどの場合、脚の付け根からくるぶしに至る「大伏在静脈」あるいは膝の裏からふくらはぎにかけての「小伏在静脈」の領域に発生します。静脈血のうっ滞により次のような症状が起こります。また、約半数の患者さんには遺伝性があると言われています。
   
  ◎症状
   脚がだるい、重い、疲れやすい、痛みがある、ふくらはぎがつる(就寝中のけいれん、こむら返り)、むくみがある、その他熱感や冷え性などがあります。
このような症状は、午前中は軽くても、夕方から夜にかけてひどくなります。
初期には無症状ですがきわめてゆっくりと進行し、放置すると皮膚炎、湿疹、かゆみ、色素沈着、皮膚の萎縮、下腿潰瘍などの皮膚症状が現れてきます。
さらには、深部静脈血栓症、肺動脈血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)など重篤な合併症を起こす可能性があります。
 
画像左から、下肢静脈瘤による「湿疹」、「色素沈着」、「潰瘍」の皮膚症状
皮膚症状:湿疹皮膚症状:色素沈着皮膚症状:潰瘍
 
  ◎検査
   検査は、ほとんどの場合超音波検査のみです。初診時に行い、病的静脈の検出や逆流の程度、血管の太さなどを観察して治療方針を決定します。
  ◎下肢静脈瘤の治療
   治療の基本方針は、表剤静脈のうっ滞を取り除くことです。治療法には以下のものがありますが、静脈瘤の程度と患者さんの希望で決定します。
  保存的治療(弾性包帯、弾性ストッキング)
     根本的治療ではありませんので進行を遅らすことはできても、できてしまっている静脈瘤を治すことはできません。
  ・ 硬化療法
    網目状静脈瘤 軽度の静脈瘤の場合に行います(クモの巣状静脈瘤、網目状静脈瘤)。また、手術後の仕上げの治療として行うこともあります。方法は、静脈瘤に2〜3カ所細い針を刺し、特殊な薬剤(硬化剤)を少量注入します。これにより血管の内皮を傷害させ血管を潰します。痛みはほとんどありません。傷害された静脈は3〜6ヶ月後には自然に吸収されてしまいます。外来処置として行っています。
  ・ 手術
     手術により下肢静脈瘤の根本的治療を行います。
  ◎下肢静脈瘤の手術
  ・ 高位結紮術
     伏在静脈本幹に軽度の逆流がある場合には、そけい部あるいは膝の裏で静脈を結紮(糸で縛る)して逆流を止めます。また、必要に応じて穿通枝の処理も行います。手術は局所麻酔で日帰り手術として行うことができます。
  ・ 選択的ストリッピング手術
     伏在静脈にひどい逆流がある場合には、ストリッピング手術(抜去切除術)が必要です。通常、逆流がある範囲の伏在静脈だけを抜去します。
 両脚の場合や複雑な静脈瘤の場合には腰椎麻酔下に行います。この場合は通常2泊3日の入院をしていただきます。
 片脚の場合や両脚の比較的単純な静脈瘤の場合には可能であれば全身麻酔と局所麻酔を併用して日帰り手術として行うこともできます。もちろん希望があれば入院していただくこともできます。
 手術創は、美容的なことも考慮してすべて吸収糸で皮下の埋没縫合を行っています。したがって抜糸の必要はありません。また、特殊な皮膚接着剤で創部を覆いますので手術翌日からシャワー浴が可能です。
 上記の硬化療法、手術はすべて保険適用になっています。
 後治療としては、弾力ストッキングを4週間着用していただいております。術後は1週間目、1・3ヶ月目に外来受診していただき経過をみます。
 
 下肢静脈瘤は「治る病気」であり、「治しておくべき病気」です。脚がだるい、重い、疲れやすい、痛みがある、ふくらはぎがつる(就寝中のけいれん、こむら返り)、むくみがある、その他熱感や冷え性などの症状がある方は、お気軽にご相談下さい。
   

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